2007年12月25日

【Thema12.25】クリスマスのお酒



ポスターはモノクロかカラーの二択でカラーになりました


「正雪 純米 しぼりたて生」

字面をじっと見て、ふと、
なんてクリスマスにピッタリな
ネーミングのお酒だろう
(特に最初の3文字あたりが)
と思ってしまうのは僕だけですか?

今宵、由比旧道の
色鮮やかなイルミネーションを
思い浮かべながら
ピュアなお米のお酒をちびり




縁があって正雪の冬の新酒「純米 しぼりたて生」のポスターを作らせていただくことになりました。撮影にあたって、実際の酒造りの現場に入らせてもらいましたが、蔵の中はクリスマスムードなどどこへやら。
おかげでピンと張り詰めた空気感を写真でとらえることができました。
夕方、神沢川酒造のある東海道(旧道)をゆっくり歩いていると、古い町並みには以外にもイルミネーションを派手に飾るお家が多いのに驚きました。旧道を彩るイルミネーションはどこか不思議で、ゲゲゲな感じで、新興住宅地のそれとはまた違う、趣のある風情に包まれていました。12月初旬のお話です。
  

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2007年12月03日

【Thema12.3】二回目の○○

何ごともテーマやタイトルは大事です。
でも、考えすぎもご用心。
「二回目の○○」。
シンプルで奥深い。
とってもいいタイトルだと思いませんか。




そういえば、一回目の金沢ではジブニすら食べなかった


先日、金沢へ行ってきました。
機内では、いつものように機内誌を眺めていましたが、
その中で、「二回目の○○」という連載企画が目に留まりました。
内容は筆者がこれまでの人生で一度だけ訪れたことのある場所へ二回目の旅に出るというもの。
そしてこの号の行き先は、ちょうど石川県でした。
じつは僕も二回目の金沢。つまり、はからずも筆者と同じ立場で同じ旅路をたどろうとしていることに、
何か得をしたような嬉しい気持ちになって、その記事を何度も読み返しました。
ちなみに僕の一回目の金沢はまだ子どものころで、ろくな思い出はありません。
しかし、そんな一回目でも旅したからこそ二回目があるわけで、
いろいろ考えていくうちに、この「二回目の○○」というテーマの奥深さを思い知ったのでした。

もちろん二回目の金沢は、天狗舞とカニの暴飲暴食で、
それはそれは愉快な旅路でした。


  

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2007年10月27日

【Thema10.27】sizo:ka7号発売

題材・ポポちゃんとお酒







レベルの高い静岡の地酒。
それが作られた地元にすぐに行けて、呑むことができる。
sake好きにとって、静岡は夢のような国である(・・・・・・と思う)。

酒蔵を軸に巡る、週末の静岡ショートトリップ。

これから、少しずつ地酒を嗜んで、味を覚えて、
髭に白髪が混じり始めるころに、
絶対やってみたいことのひとつである。








7号が発売されました。今回は、お酒ということで個人的にもそれほど詳しくない分野でしたが、県内各地のいろんな酒蔵で、いろんなお話をお聞きする中で、すっかりにわか地酒ファンになりました。”にわか”の危険なところは、たいして知りもしないくせに”受け売りキング”になるところで、すなわち僕も飲みの席では、「静岡の地酒はねぇ~」などと、たいして知らないはずの静岡の地酒について語り始めるから、今後同席される方はご用心。なんにしても、日々の楽しみがまたひとつ増えました。協力いただいた酒蔵のみなさまに感謝です。  

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2007年07月21日

【Thema7.21】6号発売

思いのほか地味で、
気を使うことの多い
雑誌作りの仕事ですが、
いいこともあります(だからやっている)。

そのひとつが、雑誌作りには定期的に〆切があることです。



「カメさんビーチバレーでハッスル」というお題を、さのまきこさんが見事に表現してくれました。
自分たちの雑誌を褒めるのもおかしな気がしますが、書き文字がとっても素敵なのです。


かげさまでsizo:ka6号が発売になりました。今号は特集として「海にまつわる物語」をまとめました。内容についてはここでは触れませんが、特集のキーワードとなったのが、やはり「海の環境の変化」でした。

れから夏本番。今年も海へ遊びに行く方も多いと思いますが、その前に、このsizo:ka6号を読んで、何かを感じて頂けたら嬉しく思います。

号はいつにもまして〆切間近まで慌しく、そういった意味でも、忘れられない一冊になりました。

誌について、みなさんのご意見、ご感想を、ホームページのご意見フォームよりお待ちしております。





  

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2007年07月16日

【Thema7.16】批評について

僕の苦痛をとりのぞく特効薬




一日中、いろんなフライパンで
ステーキを焼いて、食べて、評価して、
僕はステーキに憧れなくなった。

批評をすることは、つくづく苦痛な作業である。



越ながら日本放送文化大賞の審査員を引き受けることになりました。これは、各民放が自薦した番組を視聴・評価するもので、最終的には各地区の審査員が集まって行われる審査会で最優秀賞を決定します。

品はあらかじめ在宅で視聴して、評価しておかなければなりません。そして、これが思いのほか骨の折れる作業です。僕はかつていろいろな商品を比較テストして記事にする仕事をやっていましたが、そのときのフライパンのテストのことを思い出しました。

「ただデータだけでモノを評価してはいけない。そのモノの裏に隠された作り手の思いや苦労。それを考えれば、生半可な気持ちで評価は出来ないだろう」

れは当時の先輩から頂いた言葉ですが、その言葉はそっくりそのままこの番組の批評にもあてはまると思ったからです。つまり、一度番組を見ただけで、おいそれと批評してしまうのがはばかられるものです。(なかにはできる人もいると思いますが、不器用というか、要領が悪いというか、1度見ただけで明瞭な批評ができる自身が僕にはありません)

ミネート作品は15作品。1作品はおよそ1時間。それを2度、3度と繰り返して見るのは、苦痛を伴いますが、これが批評というものだと腹をくくって、真夜中の空いた時間に、ひたすらDVDと向き合っている今日この頃です。  

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2007年05月30日

【Thema5.29】瀬戸川の夕風

オフショット in バトゥワン


僕が流行のバリスタイルに物足りなさを感じるのは、
あのバトゥワンに吹くとろりとした夕風こそが、
バリに欠かせないのエッセンスであると感じているからだと思う。

藤枝にも1年に2、3回、
ガムランがよく似合う、
夕暮れがある。


<お持ち帰り>瀬戸川の夕風
の頃の夕風に吹かれていると、気持ちが落ち着いてくるのは僕だけでしょうか。ほんのり湿った涼風は、体の中まで浸透していくようで、なんともいえない清々しい気持ちになるのです。

して、この時期に2~3回、瀬戸川のほとりに吹く夕風が、僕をインドネシア・バリ島の山奥へ強烈にいざなってくれることがあります。

に浮かぶのは、バトゥワンという山あいの小さな村で見た、ガンブーという幻のバリ舞踊のこと。バロンダンスにケチャックとバリ舞踊は日本でもよく知られるようになりましたが、バリ舞踊の原点であるこの踊りは、もうこの街の舞踊家によってほそぼそと受け継がれているだけになってしまいました(取材したのはもう3年以上前。当時、伝承していたのは自分の年齢も知らないというおばあちゃん。現在はどうなっているかさだかではありません)。

して派手ではありませんが、機微で繊細なガンブーの舞。まるでろうそくの灯のように、弱々しくも美しい、ガムランの旋律。


して、あの美しい夕暮れの日に吹いていた夕風が、ごくたまに瀬戸川のほとりに吹くことがあるのです。  

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2007年05月02日

【Thema5.2】お茶の香ロード

<お持ち帰り> 「The green tea」
sizo:ka編集室は藤枝・茶町で明日から3、4、5日の三日間で行われるイベント、お茶の香ロード(詳しくは検索してください)に「お茶の絵本」というくつろぎのスペースを出店をします。会場は古民家にイギリスのアンティークをレイアウトした素敵なスペース。
かつて、静岡のお茶を海外に輸出した貿易船の船内をイメージしました。
写真の「The green tea」は、このイベントのためにイラストレーターのさのまきこさんとともに作った超限定のお茶の絵本です。
ご来店のお客さまは、この素材を元に手作り絵本体験をしてもらいながら茶町のお茶をお飲みいただく予定です。みなさまのご来店をお待ちしております。


お茶のダンス

春、新しく芽吹いたお茶の葉はいつも踊っています。
瀬戸谷に吹く風に、ヒラヒラ、ユサユサと。
たとえ風がほとんど吹かない日も、小さな葉っぱを目一杯広げて、
わずかなかぜをとらえるのです。
お茶の葉が一心不乱に踊るのは、
自分たちにはあまり時間が無いことを知っているから。
お茶の葉は摘みとられてしまえば、踊っている暇などないのです。
摘みとられたその晩から、製茶されて、
次の朝には、細い、棒のような洗練された体に様変わりします。
そして、おいしいお茶になるように、茶商の思いを一身に背負うのです。
もちろん、お茶の葉はそのことを百も承知しています。
だから、美味しいお茶になるように、
蒸されても、モミクチャにされても我慢します。
飲んでくれる人に喜んでもらえるように、
自分のいいところを最大限に引き出そうとするのです。
でも、どうしても得意な踊りを披露したいやんちゃなお茶の葉が、
ときどき出てきてしまいます。
たまに水面をただよう浮きのように、
茶柱が湯のみの真ん中で立って揺れていることがあります。
それは、お茶の葉の水中ダンスです。


少しだけ、相手の気持ちになってみる。
そうすれば、お茶はもっとおいしい、
もっとありがたい
  

Posted by 『sizo:ka』編集室 at 22:54Comments(3)

2007年04月20日

【Thema4.20】sizo:ka5号発売











地図上の静岡のまっ黒の道が、
いろんな色で塗り分けることができたら、
静岡の毎日がもっとおもしろい











<お持ち帰り> sizo:ka5号
5号が発売されました。今回から表紙はイラストになりました。イラストレーターは、天然生活やみずゑなどでも活躍している「さのまきこ」さん。sizo:kaで意識している「手作りの温かみが伝わる雑誌」のコンセプトをふまえたうえで、とっても彼女らしいユニークな表紙を描いてくれました。
特集は、「街道ぞいのものがたり」。街と街をつなぐ道。すなわち街道と呼ばれる道は、静岡にもたくさんあります。ある日、静岡の地図をひらいたとき、くもの巣状に張り巡らされた静岡の街道のほとんどが、色であらわすとすれば黒色であることに気づいたのです(これは個人的な意見ですが、周りに聞いてもそういう人が多かったのです)。もし地図上の街道を黒で塗りつぶしたら、地図はまっ黒けっけ。自分がいかに街道を単なる通路として利用しているだけだということを痛覚し、また、このまっ黒な地図をもっといろんな色で塗り分けることができたら、毎日がもっと楽しいだろうなと思い特集を作りました。詳しい内容は、本屋さんで。
それでは、本日発売、sizo:ka5号をどうぞよろしくお願いします。  

Posted by 『sizo:ka』編集室 at 08:22Comments(7)

2007年04月09日

【Thema4.9】真鍋澄夫さんのこと

荒野を想起させるモノが好きです。

例えば、ときどき無性に真似したくなる
ジャニス・ジョップリンの魂の歌声には、
乾いた赤土の荒野を、
また、ときどき無性に陶酔したくなる、
ウーゴ・ディアス(ハモニカ奏者)の魂の息使いには、
ステップ(気候)の栗色の荒野を想起します。

二人に共通しているのは、
大地に爪をたてて、湧き水を飲むような
圧倒的なパワーと人間臭さ。

そしてそれは、エッセイスト・真鍋澄夫の魅力であり、
彼から想起するのは、北海道の荒野の開拓民の姿です。


<お持ち帰り>荒野の酔夢紀行
真鍋澄夫さんは、雑誌sizo:kaにエッセイを連載していただいている磐田市(旧豊岡村)に住んでいるエッセイストです。創刊前、それまでお目にかかったことのない彼のことが気になって調べたことがありました。わかったのは、北海道出身で、自分のことを黒ひげと名乗るウンチク親父で、無類の酒好きで、見た目は”イカリヤさん”ということ。そしてネット上の彼のブログ。ただそれだけの情報なのに、なぜか僕はすっかり愉快な気持ちになって、何としてもこの人にエッセイをお願いしたい。この人のエッセイはsizo:kaにもマッチすると確信めいたものを感じたのです。創刊号発売後、酔夢の友である「富士山」のウイスキーボトルを持った彼にはじめてお目にかかったときに想起したのは、北海道の荒野の開拓民の姿。そして改めて、「この人にエッセイをお願いして本当によかったな」と思ったものでした。



荒野といって思い出すのが、9年前の一人旅。オーストラリア大陸のど真ん中で車が壊れて動かなくなって、炎天下の中、一日中ヒッチハイクをしていたことがあったっけ。一番近い町まで数百キロ。今考えればゾッとする出来事なのに、あのときは不思議と恐さも無くて、むしろ荒野の真ん中でワクワクしていた。当時15万ほどで買った20年前のマツダの黄色いポンコツ車も、壊れてなお愛しかった。


*誤解の無いように一言
確かに酒好きではありますが、年がら年中「富士山」を抱えている人ではありませんのであしからず  

Posted by 『sizo:ka』編集室 at 02:50Comments(6)

2007年02月25日

【Thema2.25】茶町散策にて

当たり前に思えることが、指摘されるまで、実は全く知らなかったということは結構あるものです。






(僕が調べた限りでは、)
全国に茶町という地名は、少なくとも7市町村にあります。
そして静岡の茶町はそのうちの二つ。
静岡市と藤枝市にあります。

ちなみに、藤枝の茶町界隈には、
20以上(茶町以外も含めると50以上)の茶商があって、
製茶や茶葉のブレンドの違いで、
お茶の味はそれぞれに違うといいます。






お茶のことで知らなかったといえば、僕は最近まで玉露の茶畑を間近で見たことがなかった。(岡部・前島東平さんの玉露の畑にて)


〈お持ち帰り〉Cレベルの茶ウンチク

県の人が静岡の印象について語るとき、「お茶」と答える人は多いと思います。

も、静岡人であるはずの自分が、どれだけお茶のことを知っているかというと、実はほとんど知らなかったりするんです。先日、知り合いにお茶のことを聞かれたときに痛覚しました。

岡人として、お茶における薀蓄(Bレベル程度のもの)のひとつやふたつ、持ち合わせておきたいなと思い、今日は藤枝の茶町を歩きました。

ム 茶ウンチク。  

Posted by 『sizo:ka』編集室 at 23:51Comments(10)

2007年02月17日

【Thema2.17】焼津港の魅力


焼津がギリシャに似ているかどうか、一度行って確かめてみたい。(焼津港にて)


焼津っぽさ何だろう。
焼津港は、どんなところにアイデンティティを見出しているのだろう。

せっかくの素晴らしいパパユージさんの写真を、
ハサミで雑に切り抜いたのも、
そんな何気ない疑問が原点でした。


〈お持ち帰り〉焼津港にまつわるsomething else
sizo:ka3号で焼津の兄貴ことパパユージさんを取材したときに考えました。「焼津っぽさって何だろう」。たとえば、小川国男さんは随筆で、”海が見えはじめたあたりで私は、この辺はギリシャに似ている、と(立原正秋に)言ったのだそうです”と書いているし、偏愛で焼津を避暑地とした小泉八雲の母親はギリシャの人。焼津とギリシャの意外な接点。

われてみれば、焼津港に差し込む光の束は、突き抜けて明るい。グランブルーの最初のシーンにコントラストがそっくりです。そこで、”どうやらギリシャっぽい”というのが”焼津っぽさ”のひとつになりました。しかし、それだけではどうも説明不足のような気もしたのです。

想したのは、たとえばインドネシアの海岸に連なる露店の赤、黄色、緑の裸電球だったり、離島の波止場の波の音。色鮮やかなのに、どこかもの悲しい。そんな野趣に富んだ魅力を焼津港から感じました。

パユージさんのレイアウでせっかくの美しい写真をハサミで切り抜いたのも、そんな「焼津っぽさって何だろう」という葛藤の中で産まれたものでした。

してデザインのためのデザインにならないことを

なみに、私はあの撮影以来、あまり行ったことが無かった焼津港のことが、とても好きになりました。  

Posted by 『sizo:ka』編集室 at 12:10Comments(2)

2007年02月14日

【Thema2.14】崖っぷちで気づいた、ごく当たり前のこと




輪ゴムが伸びるということは、
知らない人はいない。

伸びきったら切れてしまうということも、
みんな知っている。

でも、その輪ゴムがはたしてどれだけ伸びて、
どこで切れるのかということを知っている人は、
おそらくほとんどいない。




もし輪ゴムの限界を子どもの頃から知っていたら、割りばしの
輪ゴム鉄砲作りにもっと夢中になっていたのかな。
鉄砲には紅い薔薇がつきものである。
ゴム鉄砲にはピンクの薔薇がつきものである???


〈お持ち帰り〉情熱とチャレンジスピリット

つて、某雑誌で「とにかくトライしてみる」という趣旨の連載記事のある回に、輪ゴムを題材にしたことがありました。「輪ゴムを使ってとにかく何かをトライしてみる」。しかし、考えはじめて数日、わざわざ記事にするまでの切り口がなかなか見つかりません。自分でもなんてくだらないことをテーマにしてるんだろうと思い、同時に、輪ゴムごときに一ヶ月も費やして、なにも生まれなかったらどうしようという不安がよぎりました(雑誌の恐ろしいところは〆切があることです)。

りどころはたったひとつ、「何だって、ひとつぐらい必ず面白い切り口が見つかるはず」ということ。しかしその愚直なまでの思いは、私が編集者として大切にしている部分のひとつで、このときも結果的には自分をつき動かす推進力になったのです(輪ゴムがどれくらい伸びたら切れるかという装置を自作したのです。簡単そうに思えますが、痛みを伴わず正確に輪ゴムの切れるときの長さを測定する装置を作るのは、なかなか大変なことでした)。

心して装置ができてしまうと、不安はどこへやら(きっと、今の時代こんなくだらないことをしている人は世界中見渡してもそうそういないと思ったからでしょうか)。それからというもの、毎日夜遅くまで、一心不乱に輪ゴムのばしに精を出しました。その甲斐あって、結果はいい意味で期待を裏切るものとなり、満足のいく記事を書くことができました。

白さは意外と近いところにあるもの。でも、それを見つけることは思いのほか大変で、その葛藤が手作りの温もりとして読者に伝わるものと信じています。

かにぶつかって前へ進めなくなったとき、あの崖っぷちのチャレンジスピリットを思い出します。  

Posted by 『sizo:ka』編集室 at 14:49Comments(0)

2007年02月09日

【Thema2.9】静岡の姉妹都市のこと












酔っぱらい蟹の食べすぎで酔っぱらったのか(帽子男が僕)、露店で勢いで買った蟹の形の文鎮は、
いまだに使い道が見つからないのである。その他の写真は左から、酔っぱらい蟹、紹興の紹興酒、
杭州の東坡肉(トンポーロー)


「すこし頭をはたらかさないぶんには、
新宿(街)に出たって面白いことには
ブツからないんじゃないかな」
と、J・J氏は「ぼくの東京案内」のなかで毅然と書き記している。

その言葉を、もう少しだけ早く思い出していたならば……
ポケットにはチエの輪を。もう忘れまい。


「ぼくの東京案内」(晶文社) 植草甚一
 
〈お持ち帰り〉もう一度杭州へ行こうという旅心
縁があって浙江省杭州を旅したことがあります。当時の僕の頭の中は、蘇東坡(ソトウバ・宋の時代の詩人)の漢詩よりも彼が作ったとされる東坡肉(トンポーロー)。そして龍井(ロンジン)茶について学ぶよりも近隣の紹興で嗜む紹興酒という、名よりも実利。まことに風流を解さないものでした。(寒空の下でいただく、大き目の湯呑に並々注がれた温かい紹興酒のとろりとした甘さはには、やられっぱなしだったっけ)。
最近になって、浙江省と静岡が姉妹都市(やっぱりお茶が関係しているのでしょうか)ということを聞かされてふと我にかえり痛覚しました。自分は杭州では何も見てこなかったことを……  

Posted by 『sizo:ka』編集室 at 11:21Comments(2)

2007年02月08日

【Thema2.7】好きなもの~編集室のポリシー①

好きなものシリーズをしつこく2回にわたってやりましたが、他人も巻き込んでおいて投げっぱなしもよくないと思う……ということでの一筆。

ほら、整然と並んでいる色鉛筆のグラデーションに心ときめくあの感覚


ある日の夕暮れのこと。

そこだけ何十年も時間が止まったような、
西日の差し込むスタジオで、
印刷所が配布した色見本のカタログを眺めながら、
「あなた、色好き?」
といって、幸せそうな笑みを浮かべる
しず子さんのかわいらしさ。

おそらく僕はずっと忘れることはない。

色についてでは、
「赤ということでいえばフランスですね」
とつぶやいたエッセイスト・倉持公一さんの
言葉も印象に残っている。


しず子さんとは現「暮しの手帖」社主・大橋鎮子さんのこと


〈お持ち帰り〉原点回帰の心
「好きなものを挙げる」というお遊びの感覚は、編集作業の感覚によく似ています。というのも、あまたある物事の中から、好きなものをピックアップするときには、知らず知らずのうちに、その理由づけのためのストーリーを頭の中で展開しているからです。そして、雑誌「sizo:ka」での編集作業においても、その「理由づけのストーリ」を考える作業が雑誌の色となって表われる部分じゃないかと考え意識しています。

もう少し具体的に述べると、「好きなものを挙げる」の場合、「○○が好き」ということが、「はて、それはどうして好きなんだろう」になり、めぐりめぐって「だから○○が好き」に戻ってきます。雑誌の場合も、「今回は○○をとりあげたい」ということが、実際に記事にすることになるとまず「そもそも○○をとりあげたいというのはどうしてだろう」に一度立ち返ります。そして、改めていろいろな角度から見つめ直して、「だから○○をこのようにとりあげました」という答えを誌面に表現します。

いずれの場合も、結論を導き出すためには、そのものの魅力が最も際立つような理由づけを考えます。そして、その作業こそが私たちが大事にしている「sizo:ka」の編集の部分で、そこに拘ることで「個性」と「何を伝えたいか」という明確なポリシーが見えてきます。私たちが編集に協力してくれる人たちに自分らしさを大事にやって欲しいとお願いするのも、そういったところにあるのです。

とても不器用なやり方かもしれませんが、私たちはそういう雑誌作りをすることで、作り手の温かみやユーモア、そして情熱が誌面に反映されるものと信じています。

夜的フレンドで一緒になって遊んでくれたみなさん。ありがとうございました。
最後に、好きなものの追加として、「他の人の好きなものを見ること」を加えておきます。  

Posted by 『sizo:ka』編集室 at 01:10Comments(3)

2007年02月02日

【Thema2.2】夜のお友だち10

先日、しずおかオンラインの社長・海野さんをはじめ、eしずおかでブログをやっている人たちとの呑んだときに、持ち上がった題材です。「夜のお友だち」というと、誰しも不埒なものを想像してしまいがちですが、ここでは”あえて”そうではないものをリストアップしてみました。

よく旅行のパンフレットなどで「写真はイメージです」っていうのがあるけど、
あれはちょっと変だ。もちろんこの写真も「(夜はこれからという)イメージです」。

〈お持ち帰り〉10の夜のリスト

①サヒブ・シハブ 『Sahib Shihab & The Danish Radio Jazz Group』
夜といっても、おやすみ前というより、「さあ、今宵はこれから……」という一枚。
音がすこぶるクリアーで知的なサウンドは、全編にわたって妖しい雰囲気が支配していて、……っと、
ペンの走りすぎにはご用心。とにかく夜っぽいというか艶っぽいんです。

②ブッシュ・ミルズ
特別珍しいくもないアイリシュ・ウイスキーですが、何の変哲もなかった日の夜などに嗜みます。
大好きなアイルランドのパブの賑わいを想起させてくれます。

③WELEDA(ヴェレダ)のバスミルク
自分でも男のクセにと思いますが、風呂で雑誌の構想をねることが多いこともあって僕は長風呂です。
この入浴剤は刺激が強すぎることもないし(成分うんぬんなど、気になる方はこちらで調べてみてください)、
香りもほのかで、長風呂のおともにピッタリです。

④シガーバー ル・コネスール 六本木
六本木の友・K氏と飲み交わすときは、必ずといっていいほど立ち寄るお店。
シガーというと、なんだか紳士の嗜みのようで気取っているような気もしますが、ここは僕たちのような初心者が気軽に楽しめるのが嬉しい。
ところで静岡にシガーバーはあるのでしょうか。あるならぜひ行ってみたい。

⑤『荒涼天使たち』 ジャック・ケルアック
なんのことはない、たった今、睡眠の友として読んでいる本というだけのことです。
ところで、ホーボーということで言えばこの人か、『ほぼ静岡』ブログでお馴染みのしずおかオンラインの海野社長……ですよね。

⑥アウロラの万年筆 『タレンタム』
このメーカーのいわば新定番のような位置づけのシリーズ。気が付けば毎夜握っています。
すっきりと洗練されたデザインで、書きやすさも気に入っています。
(でも、この前、机から落としたら、キャップの付け根あたりからボディーがポキッっと折れやがった。
なにせ伊達男の国・イタリアの製品のこと、それもやむなし)。
接着剤でくっつけて使っています。

⑦あおしま
近所の居酒屋。来客があるとよく行きます。一品のボリュームが多めで、魚がおいしい。
いつ行っても近所の魚屋の親父さんが来ているのが個人的には面白い。
あの人は、ほかのところで晩御飯を食べたことがあるのだろうか。

⑧田所美惠子写真集 『針穴のパリ』
sizo:kaの表紙でもお馴染みピンホール写真の第一人者・田所さんのパリを題材にした写真集。
帯びつけに角田光代さんが「たゆたうように淡く、夢を見るようにやさしい」とコメントを寄せているが、
しかるに就寝前に眺めるのにもってこいの一冊ということか。
こういう写真集を出してくれる河出書房さんにも拍手を送りたい。 

⑨三ケ日みかん
この時期は毎夜一つは食べています。最近は砂糖みたいに甘いみかんが多いですが、
僕の場合、すっぱくて味の濃いみかんでなければものたりないのです。

⑩ジョバンニ・ミラバッシ 『AIR』
こちらはおやすみの一枚として。美しいピアノの旋律は特筆です。
  

Posted by 『sizo:ka』編集室 at 12:45Comments(0)

2007年01月30日

【Thema1.30】自分の好きなモノを挙げてみる

子どもっぽいなどとバカにはできません。これは、たとえばその人のことをよく表す、最も簡潔な手段のひとつですから。


































〈お持ち帰り〉私の好きなものリスト 
自分の好きなものをリストアップしてみたことはありますか。10程度ならすぐに挙げられるかもしれません。ところが、これが20も30もとなると……。モノがあふれかえるいま、逆にリストアップするのが難しくて筆がなかなか進みません。でも、こうして書ききあげた好きなものリストは厳選されてて、”その人らしさ”がよく表われると思いませんか(sizo:ka1号の真鍋澄夫さんのエッセイの中でもオマケとして好きなものリストを書いてもらいました)。なかなか寝付けなかった昨晩に書き上げたリストは、そのまま捨てるのは忍びなくて、クリアケースに挟んで本棚のすみっこにstack。これはひとつのお遊びで、自分を見つめなおす、よいきっかけになることうけあいです。


たとえばナンバー⑬の開高健。
「あるいは生涯かけても君はついに君自身を知り得ぬやも知れぬ」
という、彼の謎かけのような座右の銘*よりも、
「サンセット大通り」の悲しい笑いが好きで、
シャーリー・マックレーンのとぼけた味が好きだ*と言っていたことを知ったことが、
彼の作品に興味を抱くきっかけとなった




* 『オールウェイズⅠ』 開高健  角川文庫より    

Posted by 『sizo:ka』編集室 at 14:12Comments(0)

2007年01月24日

【Thema1.24】4号を作り終えて

〈お持ち帰り〉できたてほやほやのsizo:ka4号
4号が発売されました。この号の隠れテーマは、「身近でない静岡を少しだけ身近に」でした。みなさまにはどううつりましたでしょうか。感想などお寄せいただけたら幸いです。





いささか鼻息の荒い
『sizo:ka』のルーキーイヤーでしたが、
4号を発売して、
無事乗り切ることができました。

いよいよ、私たちは人類がまだ一度も見たことのない、
『sizo:ka』の2シーズン目に突入します。

今シーズンも夢は大きく、
暗中模索を楽しみの装置として。






早いもので『sizo:ka』も、創刊から1シーズン。雑誌は生もので、1回出したらそこでリセット。次の号がどうなるかなんて、私たちにもわかりません。でも、毎回そこで苦労することが面白い。私たちは、毎号ゼロから作り上げていくことが、マンネリからの脱却となり、何より誌面に手作りの温もりがにじみ出るものと信じているからです。
まずは、愛読してくださる読者に感謝。そして、自分たちもこの『sizo:ka』という雑誌が、この先どのように成長していくのかということを楽しみとして、新たなスタートを切りたいと考えております。  

Posted by 『sizo:ka』編集室 at 13:05Comments(0)

2007年01月17日

【Thema1.16】手のひらサイズで一考

小学生のときの作文って、どうしてみんな400字詰の原稿用紙を使うのでしょうか。
升目が多すぎて、子どもじゃなくとも、机に広げただけでなえてしまいます。















〈お持ち帰り〉200字詰の原稿用紙。
わざわざ静岡の街中まで出向いても欲しい一品。文字数が少ないから、とりあえず原稿用紙に向かってみようという意欲が湧いてきます。また、帳面状に綴じてあって、たとえ気持ちが乗らなくても落書き帖として使えるのが、この原稿用紙のいいところ。
手のひら七面鳥は、ポスタルコ(POSTALCO)デザイナーのマイク・エーブルソンさんに教わったアメリカの子どもたちのお絵描き。手によってみんな表情が変るのが面白いんです。原稿用紙にポンと手を置いてみたら、手のひらがピッタリおさまったので、久しぶりに描いてみました。これまさに手のひらサイズの原稿用紙?



手のひらサイズとは、
ちょうど手のひらにおさまるサイズを言うのでしょうか?
それなら、手のひらがすっぽりおさまるサイズのことは?
お気に入りの200字詰の原稿用紙に、
“手のひら七面鳥”の落書きをしながら、
ふと、そんなことを考えました。

それがあることで、くつろいだ気分になれるもの。
それなしでは、なんとはなしに空虚になるもの。
  

Posted by 『sizo:ka』編集室 at 11:18Comments(5)

2007年01月14日

【Thema1.13】近くにありすぎて見逃していたもの ①
















 〈お持ち帰り〉編集部のご近所、藤枝・潮生館の見事な配色。ご近所で”メキシコっぽさ”に出会うとは思わなかった


周辺は竹林に囲まれていて、外観は端正そのもの。
しかし、一歩足を踏み入れると、鮮やかな色彩に目を奪われる。

「朱」、「橙」、「緑」、「青」……。
この配色で想起するのは、太陽の国・メキシコのこと。

それにしても、こんなにも鮮やかな色に包まれているのに、
そこを通り抜ける空気のなんて静かなこと。
「静寂を表現しないあらゆる建築作品は失敗である」というのは、
太陽の国のマエストロ(建築家)、ルイス・バラガンだ。

思えばバラガン邸の配色も、これによく似ていらっしゃる。


内容とは関係ありませんが、「sizo:ka」④号は1月20日発売です
  

Posted by 『sizo:ka』編集室 at 00:43Comments(4)

2007年01月13日

はじめに 「玉虫色に輝く『sizo:ka』の原点として」



はじめてのおつかいならぬ、
はじめてのブログです。

川に浮かんだ木の葉のように、
どう揺らめいて、これからどこに向かうのか
自分たちもわかりませんが、
僕らの頭の中に浮かんだ、
毎日のテーマ(衝動?)と、
それによって持ち帰ってきたものを、
これから書き記していこうと思っております

どうぞよろしくお願いします。



季刊『sizo:ka』編集長 本間さとる


 中東のクリークあたりを揺らめく僕らの頭の中
 (もちろんイメージ写真)  

Posted by 『sizo:ka』編集室 at 13:06Comments(2)