2007年02月08日

【Thema2.7】好きなもの~編集室のポリシー①

好きなものシリーズをしつこく2回にわたってやりましたが、他人も巻き込んでおいて投げっぱなしもよくないと思う……ということでの一筆。

【Thema2.7】好きなもの~編集室のポリシー①
ほら、整然と並んでいる色鉛筆のグラデーションに心ときめくあの感覚


ある日の夕暮れのこと。

そこだけ何十年も時間が止まったような、
西日の差し込むスタジオで、
印刷所が配布した色見本のカタログを眺めながら、
「あなた、色好き?」
といって、幸せそうな笑みを浮かべる
しず子さんのかわいらしさ。

おそらく僕はずっと忘れることはない。

色についてでは、
「赤ということでいえばフランスですね」
とつぶやいたエッセイスト・倉持公一さんの
言葉も印象に残っている。


しず子さんとは現「暮しの手帖」社主・大橋鎮子さんのこと


〈お持ち帰り〉原点回帰の心
「好きなものを挙げる」というお遊びの感覚は、編集作業の感覚によく似ています。というのも、あまたある物事の中から、好きなものをピックアップするときには、知らず知らずのうちに、その理由づけのためのストーリーを頭の中で展開しているからです。そして、雑誌「sizo:ka」での編集作業においても、その「理由づけのストーリ」を考える作業が雑誌の色となって表われる部分じゃないかと考え意識しています。

もう少し具体的に述べると、「好きなものを挙げる」の場合、「○○が好き」ということが、「はて、それはどうして好きなんだろう」になり、めぐりめぐって「だから○○が好き」に戻ってきます。雑誌の場合も、「今回は○○をとりあげたい」ということが、実際に記事にすることになるとまず「そもそも○○をとりあげたいというのはどうしてだろう」に一度立ち返ります。そして、改めていろいろな角度から見つめ直して、「だから○○をこのようにとりあげました」という答えを誌面に表現します。

いずれの場合も、結論を導き出すためには、そのものの魅力が最も際立つような理由づけを考えます。そして、その作業こそが私たちが大事にしている「sizo:ka」の編集の部分で、そこに拘ることで「個性」と「何を伝えたいか」という明確なポリシーが見えてきます。私たちが編集に協力してくれる人たちに自分らしさを大事にやって欲しいとお願いするのも、そういったところにあるのです。

とても不器用なやり方かもしれませんが、私たちはそういう雑誌作りをすることで、作り手の温かみやユーモア、そして情熱が誌面に反映されるものと信じています。

夜的フレンドで一緒になって遊んでくれたみなさん。ありがとうございました。
最後に、好きなものの追加として、「他の人の好きなものを見ること」を加えておきます。

Posted by 『sizo:ka』編集室 at 01:10│Comments(3)
この記事へのコメント
グラデーションの揃っている色鉛筆、いいですねえ。

私は3人兄弟の3番目なので、いろいろなお下がりで育ちました。
洋服はもちろん、文房具も何かしらあったので、いつもあり合わせでした。
ですから小学校の1年生の冬、
サンタさんから色鉛筆の24色セットをもらったときは、たまらなく幸せでした。
原色ばかりでない、たとえば「はいみどり」なんて色もあり、
全てそろった24本の色鉛筆は、とても誇らしく思えました。

今の時代に、サンタさんのプレゼントが色鉛筆なんてのは、
ちょっと笑える気もしますが、でも考えようによっては、
色鉛筆であんなにも幸せになれたあの時代は、
たまらなく贅沢だったような気もします。

「理由づけのストーリー」のお話は、とても興味深かったです。
う~ん、勉強になるなあ。
Posted by ぱらぽん at 2007年02月10日 09:05
コメントありがとうございます。実は僕もサンタさんに色鉛筆をおねだりした人間の一人で、今考えると、それを使って絵を描くことよりも、綺麗に並んでる姿を眺めることが好きだったような気がします。
サンタさんのプレゼントに色鉛筆というのは、もうないんですかね。
そういえば、僕の子どもの頃は、子どもたちはみんな文房具屋が大好きでしたが、今は学校前に当たり前のようにあった文房具屋も少なくなってしまいました。
Posted by honma at 2007年02月10日 18:04
08年の6月になって、たまたま記事拝見しました
Posted by くらもち こういち at 2008年06月17日 18:46
 
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